獣医師みやも&ブリ太郎のすったもんだ日記

愛猫ブリ太郎と、動物病院の日常やどうでもいい日々を綴ります。

膀胱炎

こんばんは。
嵐ファンが心配な今日この頃…

一昨日はざっくりと膀胱炎の話をしましたが、今回はその原因のひとつである
『尿路結石』について。


 尿路結石って? 
尿路結石は尿中のミネラルが結晶化したものを言います。
動物の身体にはいろいろな種類の結石が作られますが、尿路にできたものはまとめて『尿路結石』と呼ばれます。
その中でも、作られる場所によってそれぞれ名前が異なります。

・腎臓=腎結石
・尿管=尿管結石
・膀胱=膀胱結石
・尿道=尿道結石


尿路結石はこの4つに分かれます。
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 どうやってできるの? 
実は結石の作られ方は真珠の作られ方に似ています。
真珠は2枚貝の中で、砂粒などの核の周囲に真珠層が何層にも重なって成長しますよね。

尿路結石の場合は、
剥がれ落ちた膀胱壁の細胞細菌の死骸真珠層はカルシウムやマグネシウムといったミネラルです。
①細菌の感染や炎症で、結晶の中心となる核ができる。
 (なくてもできちゃうこともあります!)
②オシッコ中のミネラルがどんどん蓄積して大きくなる…
といった流れですね。

オシッコの性状は食べ物が大きく影響します。
食べ物からたくさんのミネラルを摂ると、余分なミネラルは尿中に排出されます。
ミネラル同士はお互いにくっつく性質を持つので、少しづつ結晶化してしまうんですね。
ミネラル自体はとっても大事な栄養素ですが、なんでも摂りすぎはダメ

結石が作られるのに適したオシッコの状態が長く続くと…
場合によっては膀胱いっぱいにおおきくなってしまうこともあります

まとめると、結石の原因は

・オシッコのpH(酸性・アルカリ性の度合)の偏り

 →それぞれのミネラルに適したpHがあります。
・濃いオシッコが長く膀胱に留まること
 →ミネラルの濃いオシッコが長く留まるほど、結晶化しやすくなります。
・尿中のミネラルが高くなること
・尿石の核(結晶の中心)があること
・尿路感染
 →細菌は増殖する際にオシッコをアルカリ性にしてしまいます。

ですね。

 結石いろいろ… 
結石には実は色々な種類がありますが、犬猫での2トップはこの2つです!

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最も多いのがこの子!
本名はリン酸マグネシウムアンモニウムっていうちょっとややこしい石です。

アルカリ性のオシッコでできやすく、中には数センチまで大きくなってしまうこともあります。
棺桶型の結晶が特徴的ですね。
大きくなると大変ではありますが、このストラバイトのいいところはオシッコを酸性にすると割とすんなり溶けてくれるところです(もちろん例外はあります)。
なので手術まで行わずに、内科的に治療できることが多いですね。
結石自体は表面が滑らかで角ばっていないものを作ります。

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これは…2番目に多い結石ですが、ちょっと厄介者です。
というのも、なかなか溶けないんですね
最終的に手術で取らなくてはいけなくなることが多いのがこの石です…

原因は名前の通り尿中のカルシウムシュウ酸です。
シュウ酸はもともとカルシウムと仲良しなんですが、腸の中で2人が出会うと結合してそのまま問題なくウンチの中に排出されます。
しかし、脂肪分の高い食事を摂るとカルシウムが脂肪に結合してしまい、行き場を失ったシュウ酸はオシッコの中にでてしまうというのです

この石の原因としては色々な因子がありますが、ヒトの食事を与えたりすることが要因のひとつのようですね。
この石は巨大化することは少ないですが、角ばった痛そうな結石に成長することが多いです。


 予防方法と治療法 
基本的に尿路結石の治療は 食事 です。
結石の種類によって原因となるものは違いますから、それぞれに合った食事を使います。

ストラバイト
この石は、先ほども書きましたがオシッコを酸性にすることがとっても重要です。
あとは尿中もマグネシウム、リン、アンモニウムの濃度を抑えること。
難しいことを言ってますが、ストラバイトについては多くの研究がされているので、専用の処方食もたくさん作られています。
正直、この処方食を使うことが最も簡単で体に負担がかかりません。

ただ、ストラバイト用の処方食は塩分が添加されていることが多いため、腎臓病・心臓病の子には勧められません。
いずれにしても獣医師からの処方が必須となります。


シュウ酸カルシウム
はっきり言って治療は難しいです。
教科書では食物中のカルシウムやビタミンDを抑えることシュウ酸の前駆物質であるビタミンCが添加された食物は与えない
などとありますが、実際なかなか対処できません。
また、この石に関しては、オシッコの酸性化は高カルシウム尿を助長するので、適していません。
今はストラバイトにもシュウ酸カルシウム結石にも対応した処方食は作られていますが、基本的にこの2つの結石の治療方法は逆なんですね。


この結石に対応するフードを作るのはとっても大変だと思います。
フード会社さんの日々の努力には頭が下がります……


昔から現在に至るまで、とっても多い尿石症。
効果的な処方食がどんどん開発されてはいますが、やはりまずは作られないことが1番!
お家でできる最も簡単な予防方法は お水を飲む量を増やしてオシッコをどんどん出す事 です。
少しの工夫で飲水量がグッと増えるかもしれません。


ピュアクリスタルで水を飲む!←こちらも参照ください。

こんばんは!
先ほど吐き気を催したため、まさかと思い病院へ行きました。
検査やら問診の後
『インフルエンザの可能性はまずないでしょう』
とのこと。恥ずかしい…。
そういえば生まれてこのかた一回もインフルエンザにかかったことはありませんでした。
自分の体質を見誤ってましたね。


さて、糞尿の記事ばかりになっている本ブログですが、ここらでさらに追加したいと思います。


今回は動物にとっても多い 膀胱炎 についてです。

膀胱炎って?

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膀胱炎、人でもよく聞きますよね?
その名の通り膀胱の炎症です。

多くの飼い主さんは
『オシッコの色がいつもと違ってて…』
『何回もトイレに行って、なかなか出てこないんです。』
といってこられます。

症状はやはり頻尿・血尿が多いですね。
ひどい場合やデリケートな子では元気・食欲が落ちてしまうこともあります。


なんでなるの?

原因は大きくわけて
①尿結石
②細菌
③特発性

です。

①尿結石

これは尿中にできた結石が膀胱内でチクチク刺激することで起こります。
2次的に細菌が繁殖してしまうことも多いです。


ただ、結石が起こす問題としては膀胱炎よりももっと大変な事があるのですが…
これについては次回書こうと思います。


②細菌
これは人でもよく起こるものですね。
膀胱内で細菌が繁殖することで粘膜に炎症を起こします。

こちらはどちらかというと女の子で多いです。
女の子は尿道口(オシッコの出口)から膀胱までの距離がとっても近いんですね。
男の子は女の子と比べて3~4倍の距離がありますから、感染のしやすさには大きな差があります。


というわけで原因はやはり外部からの細菌の侵入です。
女の子では体の構造により細菌の侵入が起こりやすい、と書きましたが
そもそも健康な子で定期的に排尿ができている子であれば細菌が多少侵入してもオシッコと一緒に出ていくはずなんです。

では、どういったことで細菌が異常に増えてしまうのでしょう?
実は膀胱炎が多い時期は寒い冬。そう、 なんですね。
以前の記事ピュアクリスタルで水を飲む!でも触れましたが、膀胱炎の増悪因子としてはまず飲水量が少ないことが挙げられます。


お水を飲むのが少なくなればオシッコをする回数も少なくなりますので、
自然と膀胱内にオシッコが留まる時間が長くなります。
細菌が長く留まれば…活発な細菌達はチャンス!とばかりに一生懸命増殖しようとします。

もちろん原因となるのはこれだけではありません。
他に悪化させる要因としては

糖尿病
 細菌は養分になる糖分が大好き!そんな糖がいっぱいあるなんて…最高の環境ですね。
 膀胱炎は糖尿病の合併症で多いもののひとつです。

寝たきりの高齢の子達
 どうしてもオムツを着ける時間が長くなってしまう子達。
 陰部が直接オムツに接しますので、物理的に細菌が侵入しやすくなってしまいます。

椎間板ヘルニアなどで麻痺がある子
 重症の子では自力で排尿ができない場合があります。
 尿が溜まった状態が続いてしまうので、この場合も細菌繁殖を起こしやすい状態になります。
      
などなどがあります。
最近は皆さん丁寧にお世話されていて長生きする子が多くなっていますから、
どうしても多くなりつつある病気のひとつです。


③特発性
①でも②でもない、原因不明の膀胱炎です。
原因不明というと語弊がありますね
正しくは原因が特定できないものを私たちは『特発性』と呼んでいます。

実は猫達に多く、実際はストレスが元に起こっていることが多いようです。
原因となる事柄が無くなれば自然と治るものですが、これは治療が難しいことが多いです…。


どうやって治すの?

さてさて、このように動物たちでも一般的な膀胱炎
治療方法は多くの場合飲み薬になります。
お薬が飲むのが難しい子の場合がお注射で投与することもありますが、
いずれにしても早期に発見できれば怖い病気ではありません。

いつもよりおトイレにいる時間が長い。オシッコの色・ニオイがいつもと違う…。
このようなことに気付いたら、お早めに動物病院へどうぞ

こんばんはー!

最近みんなに『ブリでかくなった!?』って言われます。
そ、そんなに変わらないよ。ほんとほんと 笑


さて、今日はブリの給水器の話。
猫といえばオシッコですよね。
また糞尿の話か…とあきれないでください

それだけ猫のオシッコトラブルって多いんです


さて、なんで猫にオシッコトラブルはつきものなんでしょう?
その原因のひとつに
飲水量が少ないこと
が挙げられます。

猫の祖先はリビアヤマネコ。故郷は乾燥した砂漠地帯と言われています。
乾燥した地域では水はとても貴重なもの。
少ない水の量でも生活できるような体になっているので、もともと猫には水を積極的に飲む習慣がないのです。


水を飲む量が少なくなれば、オシッコは濃く少なくなり、排泄も少なくなります。
そして尿が膀胱に留まる時間が長くなることで、細菌は繁殖しやすく、結石は作られやすくなってしまいます。

お水はごくごくのんでオシッコはじゃんじゃん出した方がいいんですね。


猫で1日に必要な飲水量は、一般的に60~70㎖/kgとされています。
(脂肪には水分を保てないので、肥満の子はより多くの水分補給が必要です)
ちなみにドライフードには10%の水分、ウェットフードには75%ほどの水分が含まれますから、
あまりにもお水を飲まない子の場合はウェットフードで強制的に水分を摂らせるという方法もありますね


ですがやはりフードだけでは十分な量は摂れませんから、なんとか自分で飲んでほしいところ。
体調の問題で飲めない場合は別ですが、少しの工夫で飲水量がグッと増えるかもしれません。

①器の大きさ
猫の中にはヒゲが器に当たるのを嫌がり、水を飲むのをやめてしまう子がいます。
口が広くて浅いものがおすすめです。

②高さ
少し器の位置を高くすることで、飲みやすくなることがあります。

③場所

実は野生動物の猫科の仲間は、水飲み場と食事の場所、トイレは全て分けています。
全部一緒の場所だとすぐに敵や獲物に居場所がバレてしまいますからね。
よくやってしまうことですが、トイレとごはん皿と水の器は一緒に置かないほうがいいとのこと。
猫によっては場所が気に入らないという場合もあるので、できれば複数カ所置くのが理想的です。

④器の素材
ガラス、陶器、ステンレス、プラスチック
今は色んな素材のものがありますね。猫達はこだわりがありますから、決まったお皿でないと飲まない子もいます。
おススメなのは陶器です。ステンレスやプラスチックはお手入れがしやすいですが、傷がつきやすくニオイが付きやすいという欠点があります。

⑤流水にしてみる
猫達は流れる水に興味を持ちやすいです。
キッチンで水を流していると寄ってくる子もいるのではないでしょうか。


ブリがまず実践したのは⑤です。
(まずというのはワケがあります…)

使ってみたのはこちら。



これ、ブリには効果てきめんでした!
主に流れる水を突っついて遊んでましたが、確実に飲む量はアップしていたようです。

デメリットとしては、遊んでしまう子の場合は周りがびしょびしょになることくらいでしょうか…




こっちの方がこぼれにくそうですね。

さて、ただこれらの給水機、ブリにとっては致命的な問題がありました。
それは パーツが分解できること

破壊神ブリ太郎ですから、おおよその予想はつくかと思いますが。

……ええ、分解したんです


この給水機、ポンプでくみ上げるようになっていますから、もし上のカバーが外れると…
水が噴水のように噴出します 笑


帰ったら水浸しの部屋と猫がいるんだもんびっくりしますよねー


今はまだ対策を練っている段階ですので、ひとまず水入れは陶器のグラタン皿で代用しています。
図らずも④を実践することになってしまったのでした。
とほほ…

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