獣医師みやも&ブリ太郎のすったもんだ日記

愛猫ブリ太郎と、動物病院の日常やどうでもいい日々を綴ります。

子宮蓄膿症

こんばんは!
ただいま出先のネカフェにてこちらを書いております。
一度そういうのやってみたかったんですよね♪
コンソメスープ飲みながら完全に浮かれております 笑


さて、前回子宮蓄膿症がどんなヤツかについて書きましたが、今日はその治療と予防方法についてです。
あ、ちなみにおおよその予想はつくと思いますが、この病気に関しては治療法と予防法は基本同じです。
説明も一瞬で終了します。笑


 治療方法 
ズバリ、避妊手術。(正確には卵巣子宮摘出術ですが)

……言うと思ったでしょ。
でもほんとにそうなんです。

開腹をして膿の溜まった子宮を切除する方法になりますが、
それが1番確実で早く、治療効果の高い方法になります。
唯一根本的な原因を取り除く方法ですからね。
これが1番です。
前回説明した通り、この病気はとても緊急性の高いものですから、見つかったらその日もしくは翌日には手術を行うことが多いです。



でも
『この子はどうしても赤ちゃんを産ませたい!他の方法はないんですか?』
という飼い主さんもいます。

もちろん子宮を切除してしまうと、二度と妊娠することはできませんから
その場合は注射薬(ホルモン製剤)を使って子宮から膿を排出させる&抗生剤で細菌を退治
という方法をとることもあります。
ですが……

正直おススメしません。


というのも
ほとんどが早かれ遅かれ再発するからです
また、強制的に子宮から膿を排出する方法になるので、開放性の子宮蓄膿症にしかこの方法は使えません。
さらには、他の治療薬と比較するとやはり副作用が多いように感じます。
副作用は下痢・嘔吐など、目立ったものはないですが、果たしてこれが注射の副作用なのか、病気の影響なのか判別しにくいところも難点ですね…


私が診ている子(虚弱体質でどうしても手術ができない)でも、この治療方法でなんとか体調を維持している子もいます。(定期的に繰り返しますが…)
ただ、その子たちに関しては飼い主さんがこの病気に対して深い知識と理解を持っていて、発症の兆候があるとすぐ連れて来てくれるからできることでもあります。

状態が悪く、一刻を争う場合は治療の選択の余地すらありませんから…


結論としては
治療方法の基本は手術
(ただし状態次第では他の方法もないわけではない)

です!

 予防方法 

さて、ということは予防は……?

ええ、もちろん避妊手術でございます!

いい加減しつこいですよね 笑

でも、大事なことなのでもう一回説明します。
子宮蓄膿症は 避妊手術 で100%予防できるんです!

方法同じなら、なってからでもいいんじゃ…
と思われるかもしれませんが、それは大きな間違いです。

もちろん治療方法の卵巣・子宮摘出術と避妊手術は基本的に方法は同じですが、危険性には天と地ほどの違いがあります。
ただでさえ状態の悪い子に麻酔をかけるんですから、体への負担は相当なものです。
実際手術をしたって助からない子もいます。

費用だって数倍も違ってきます……


最近は飼い主さんも意識が高くなってきていて、適切に病気の予防ができている子が増えてきましたが、それでもこの病気で辛い思いをしながら病院に来られる子もまだまだ多いです。


この病気に関して私が言いたいのは一つだけです。
子宮蓄膿症は100%予防できる病気です。
赤ちゃんを産ませる予定がないのなら、早めに避妊手術を受けさせてあげてください。
予防できる病気で死なせてしまうことほど、悔しいことはありません…。


長々とありがとうございました!

こんばんは!
本日やっとしっかりした掃除機を買いました。
いままでクイックルワイパーでごまかしていたのでめっちゃ快適です…


さて、本日は犬猫たちにとっても多い 子宮蓄膿症 についてです。

 子宮蓄膿症って? 
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子宮蓄膿症はその名の通り 
子宮に膿が貯まる病気
です。
この病気は私たちにとってとっても馴染み深く、そして怖い病気のひとつです。
6歳以上の未避妊の女の子で、最後の発情から2か月前後という時期に発症しやすく
赤ちゃんを産んだことがない、もしくは長くお産を休んでいる子で起こるとされています。


 症状と診断 
子宮蓄膿症の症状は様々です。

・元気、食欲がない
・嘔吐
・下痢
・多飲多尿(たくさん水を飲んでオシッコをする)
・おなかが張る
・陰部からアズキ色の液が出ている
・体が熱い、もしくは冷たい


などなど…あまり特徴的でないものが多いですね。
症状によっては気付かれず、病院に来たときにはとっても酷い状態ということもあります。

症状のひとつにある『アズキ色の膿』が出ている場合であれば、異常に気付かれることが多いですが、
全部の子で膿が出るとは限りません。
これが困ってしまう事のひとつです。

子宮蓄膿症には閉鎖型開放型があります。
膿が陰部から出てくるのは、子宮口が開いている『開放型』
子宮口が大きく開いていればいるほど、陰部からたくさんの膿が出ます。ただ、見た目は派手ですが、こちらの場合はそこまで重篤な症状を示しません。

ですが子宮口がぴったり閉じている『閉鎖型』はどうでしょうか?
こちらは体の外に膿が出せないので子宮の中にどんどん貯まってしまいます。
大型犬では子宮に3ℓもの膿が貯まってしまっていた子もいます。 おそろしや…

また、こちらは膿が長く体内に留まるぶん、症状も重症化しやすく危険です。
膿が出ないので発見が遅れるのも厄介なポイントですね


さっきから重症化重症化って言ってますけど、実際どんなことが問題になるのでしょうか?
子宮蓄膿症は早くに発見されて治療できればほぼ確実に完治できる病気です。
ただその反面、発見が遅れたり、治療をせずに放っておけばほぼ確実に死に至る病気でもあります。


その命を落とす原因となるのが 敗血症 ですね。
敗血症は、そのまんまですが体が細菌に負けた状態のことです。(血液中への単純な細菌の侵入は菌血症と言って区別します)

普段生き物は自分の免疫で細菌と戦っていますが、体力の低下やホルモンバランスのせいで細菌が免疫に勝利してしまうと…どんどんどんどん体内で細菌が増殖します。
大人しくしていればいいものを…細菌は増殖に伴って毒素を産生し、ショック状態(エンドトキシンショック)を起こしてしまったり、DIC(播種性血管内凝固)を起こして最終的に多臓器不全を引き起こします。
こうなったらもう最悪。治療へ反応する確率はガクッと落ちてしまうのです。


敗血症はどんな感染症でも起こりうるものですが、とりわけこの子宮蓄膿症は起こすリスクが高いとされます。
下の原因の項で書いてますが、ただでさえ感染しやすい状態の身体で起こっている病気ですからね…
進行もとても早いです


また、この病気に関しては、膿を溜めた子宮が破裂する というゾッとすることも起こりかねません。
その場合はお腹の中に細菌をまき散らしてしまいますから、大至急開腹と洗浄が必要になります。
ただ、この状態にまでなってしまうと…正直助からないことが多いです。


ではではこんな恐ろしい子宮蓄膿症、診断はどうするでしょうか?
小動物、特に犬の子宮蓄膿症はとても多いです。
上に挙げたどれかの症状&まだ避妊手術をしていない女の子
とあれば、私たちはまずこの病気を疑って検査をします。

というのもこの病気、比較的簡単に除外ができるからです。
この時にとっても活躍してくれるのが エコー(超音波)
明らかなものであれば基本的にエコー検査で診断が可能なんです。

怪しげな症状を示す女の子が来たら、私たちはまずエコーを当てて確認をしています。
もしも子宮蓄膿症と診断されれば、それに加えて血液検査を行って重症度の判定を行い、大急ぎで治療を始める、といった流れです。(急にバタバタします…)


 原因 
直接的な原因は子宮に細菌が侵入して繁殖することです。
ですが、通常の子宮内は清潔で、多少の細菌が入ったくらいでは負けません。
(膀胱と同じですね)

しかし、そこで影響してくるのがホルモンバランスです。
犬の発情後2カ月という時期は、女の子ホルモンの影響で感染を起こしやすい状態にあります。
子宮蓄膿症で悪さをしているのはほとんどが大腸菌ですから、この時期に陰部から細菌が侵入することでこの病気が発生してしまうんですね…


ちなみに別の動物の例を挙げると、牛ではほとんど発症しません。
牛でお産を経験しないことの方が珍しいから当たり前かもしれませんが、発症しても軽症で済むことがほとんどのようです。


同じ病気でも、動物の種類によって全然違ってくるので面白いですね
罹った動物からしたらたまったもんじゃないですが…




次回、治療・予防に続きます!

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