獣医師みやも&ブリ太郎のすったもんだ日記

愛猫ブリ太郎と、動物病院の日常やどうでもいい日々を綴ります。

ノミダニ予防薬

こんばんは!

相も変わらず忙しい毎日です。
風邪は治りました 笑

さて、今回はノミダニの新しい薬、『ブラベクト』について!
(新しいと言っても犬用は数年前に発売されていましたが…。猫用が最近新しく作られました)


前回は予防薬の種類や使い方について書きました。
なんとなく分かるかと思いますが、基本的に予防薬の効果の持続期間は1か月間です。
(首輪タイプは長いものもありますが、正直2、3か月目の効果は確実には保証できません。)


なのでこれまではノミダニを確実に予防するには毎月一回、スポットタイプか飲み薬タイプを使うほかありませんでした。

そこで登場したのがブラベクト!!
このお薬のポイントは

1.フルララネルという日本で発見された成分を使用。安全性・効果がともに高い。
2.1回の投与で効果が3か月持続
3.ニキビダニにも効果を発揮!(効用外ですが…)

大きくこの3つ!

「ブラベクト」の画像検索結果
犬用はチュアブルタイプ

「ブラベクト」の画像検索結果
猫用はスポットタイプです。


1.安全性・効果がともに高い。

これはすべての薬剤において重要ですよね。
ブラベクトは『フルララネル』という成分が使用されています。

この成分は国内で発見されました。
効果は昆虫のGABA作動性イオンチャネルに対して作用します。
GABAはリラックス効果で知られていますよね。
機序は詳しく書きませんが、フルララネルはこのチャネルを阻害することで、過度の興奮を起こしノミダニを死滅させます。

安全性についての臨床試験では、
『子犬に臨床適用上限量の5倍量を8週間隔で3回投与しても有害事象(副作用)が認められなかった。』
と報告されています。
(EUでの臨床試験では消化器症状が認められたことから、注意事項には『ときに下痢や軟便を生じることがある』と書かれています。)


安全性が高いのは、より少ない用量でもノミダニに対して効果を示すから。
基本的に薬剤は効果を示す用量(有効血中濃度)が低いほど安全性が高いです


もちろんその子によって合う合わないはありますから、すべての薬剤において、使用する際に注意は必要です。


2.1回の投与で効果が3か月持続

私はこれが最大の特徴でメリットだと思います。
ブラベクトがこれまでの薬剤と大きく異なる理由は、1回の投与で3か月間効果が持続すること
臨床試験では犬で140日間、猫で16週間の効果の持続が証明されています。

なので、これまで毎月1回、通年で12回の投与を行っていた真面目な飼い主さんも、1年で4回の投与で済むというわけです。
また、通年までは…という方は梅雨時や秋口といったノミダニ寄生のピーク時期にだけ投与する方法でも十分効果が発揮されるのではないかと思います


その分薬剤の値段は高めですが、3か月分のこれまでの薬剤と比較すると実際あまり変わりません。


3.ニキビダニにも効果を発揮!

これも個人的にとても助かっています。
ニキビダニ(アカラス)は皮膚に常在する微生物の1つですが、時に重篤な皮膚症状を示します。

これまではニキビダニに対して使用する薬剤は限られていて、

副作用を生じるリスクが高い
フィラリア陽性の犬に使用するとアレルギー反応を起こすことがある
コリー犬など、MDR1遺伝子陽性犬に使用できない

などの問題がありました。

しかしブラベクトはすべての犬種に安全に使用することができ、フィラリアには効果を示さないためフィラリア陽性犬にも使用することが可能です。

ニキビダニに対しての効能については以下の論文に記載されています。↓↓
犬のニキビダニ症におけるフルララネルの効用
https://parasitesandvectors.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13071-015-0775-8


使い方としては、3か月に1回投与する方法で通常と変わりません。
基本的に1回の投与で99%のニキビダニ駆虫の効果を示したとのことです。

実際、私が診ていたニキビダニ症の子も、ブラベクトの使用で皮膚症状が大きく改善しました。


 デメリット 

犬用の薬剤はチュアブルタイプなのですが、時々食べてくれない子もいるのでそこは注意です。
また、錠剤はポーククレーバーつき。豚肉アレルギーの子では反応してしまう恐れがあります。
あとは…3か月効果が持続するぶん、むしろ忘れやすくなってしまう可能性はありますね 笑


他には…特に思いつきません
それくらい優秀なお薬です


年間を通して予防されている飼い主さんにはおすすめです


こんばんは…

もう、毎日忙しすぎる…
忙しすぎて久しぶりに風邪ひきましたよ。

風邪なんてひくの何年ぶりだろう…


まあそれはそれとして。



今回はノミダニの話Part2
実際に駆除に使うお薬の話

ノミダニに対するお薬(駆虫薬)はいくつか種類がありますが、ほとんどのお薬が持続型で作用期間が長くなっています。
なぜならノミダニはその場で駆除しても、またすぐについてしまうから。
ノミダニのお薬は駆虫というよりは予防目的の方が重要なように思います。


 予防薬の使用方法の違い 

前々回書いたように、ノミダニの予防薬には外用タイプ内服タイプがあります。

メジャーなのはやはり外用タイプでしょうか?
外用タイプというとちょっと分かりにくいですね。
首の後ろに滴下するスポットタイプが外用タイプのエースになります。
基本的に1か月間効果が持続します。

注意事項としては、
①口の届かないところにつけること(舐められないようにすること)
②つけた前後2~3日はシャンプー等を避けること
特に①はネコでは注意です。猫は案外首が回りますので…



その他にも、首輪タイプのものも昔から使われている方法ですね
首輪タイプも効果が持続しますが、なにぶん首に着けておくものなので、雨風の影響や毛並み等に影響されやすいのが難点です。
少なくとも3~4か月に1回は交換するようにしましょう


また、最近では内服タイプのものも増えてきました。
こちらも1か月間効果が持続します。
錠剤タイプもありますが、私の勤務している病院ではオヤツタイプのものが人気があります。


 お薬の成分について 

さて、ノミダニの予防薬はどうやって効果を発揮するのでしょうか?
どうして動物の身体には害がないのでしょうか?


予防薬の成分にも、やはり種類があります。
(ちょっとだけ細かい話になります

①有機リン系殺虫剤・カルバメート系殺虫剤
これは古くから使われている薬剤のひとつです。
虫体で、運動神経の興奮に必須のアセチルコリン分解が阻害されることで、運動麻痺を起こして死亡します。
ただし注意が必要なのは、これらは農薬と同様の薬用成分ということ。
有機リン中毒というものもあるので、口にしたりしないよう注意が必要です。
これらの薬剤が首輪タイプのもので使用されているのは、このためです。


②ピレスロイド系殺虫剤
これは除虫菊の成分として有名ですね。
衣装ケースの防虫剤にもよく使用されます。

これも神経興奮の伝達を阻害する効果は同じですが、作用する場所が少し違います。
(ナトリウムチャネルを開いたままに固定します。)
有機リン系と比べて安全性が高いため、外用に広く使用されています。


③昆虫成長制御物質(IGR)
ルフェヌロンという薬剤がこのタイプの代表的なものです。

ノミダニなどの昆虫の表皮は、キチンと呼ばれる硬い殻でできていますが、ルフェヌロンはこのキチンの合成を阻害します。
ルフェヌロンの優秀なところは、ノミの卵と幼虫の発育も阻害してくれるところ。
動物がこの薬剤を服用すると体内に蓄積され、ノミが吸血することで薬剤がノミの卵に移行します。
その結果、ノミのライフサイクルが断たれて駆除されるというわけです

この薬剤は内服薬、または注射薬として使用されています。


④ネオニコチノイド系薬
こちらも神経興奮の伝達に作用する薬剤です。
詳しく書こうとすると細かくなっちゃうので書きませんが、ニコチン様作用をもつ比較的新しいタイプの殺虫薬です。
特徴はやはりその即効性ですね
投与後約6時間で効果が見られてきます。

脊椎動物では毒性が弱く、昆虫には強力に作用するのも特徴のひとつ。
うちの病院でもアドバンテージという製品でこの薬剤を使っています


⑤フェニルピラゾール系薬剤
こちらも神経伝達に作用する薬剤です。
こちらも簡単に書きますが、寄生昆虫の抑制性神経であるGABA受容体に結合してこれを遮断する効果があります。
特徴は安全性と即効性。
④と同様、昆虫には強く作用するものの、脊椎動物にはほとんど作用は見られません。
また、皮膚からの吸収もほとんどなく安全性の高い薬として、最近急速に広まっています。

CMでもよく見るフロントラインの成分はこちらです
他の薬剤に耐性を持ったノミにも効果があります。



さてさて、ざっくりと予防薬を分類しましたが、
本当に書きたかったのは新しい薬、『ブラベクト』について!


つづきは次回…

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