獣医師みやも&ブリ太郎のすったもんだ日記

愛猫ブリ太郎と、動物病院の日常やどうでもいい日々を綴ります。

2019年05月


こんばんは!
前回に引き続き、MARVELにハマり散らかしております、みやもです。

最近ディズニーTHEATERに入りまして…
なんとこれひとつでディズニーもMARVELもスターウォーズも全部見放題

これとAmazonプライムに入ってるのでもう最&高ですよ。



さて、今回は最近また多くなってきた
『交通事故』
について。

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人でも忙しい時期などは事故が多くなりますが、動物でも事故が多くなる時期があります。
それがこの春先
暖かくなってきて動物(特にネコ)の発情期が始まり、より活動性に拍車がかかる時期です。


基本的に交通事故で連れてこられるのはネコ
やはり自由に外に出歩く子が多いですからね。特に地方では…

また、以前も書きましたが、ネコは性質上車を避けにくい生き物。
交通量の多い道路では、特に危険です。



 交通事故の怖いところ… 

もちろん事故はどんなものでも嫌ですが、動物の事故で特に厄介なのが
『状況が全く分からないところ』

いつ、どこで、どういう風にぶつかったのか…
動物相手の事故では残念ながら、ぶつかった車は走り去ってしまうことがほとんどです。
(もちろん連れてきてくれる優しい方もいますが…)

そのため、発見が遅れてしまうこともしばしば。
道路で倒れているのが見つかったり、足を引きずりながら帰ってきたり…

前からぶつかった?後ろからぶつかった?轢かれた?
そもそも事故じゃない…?

なにひとつ情報がない状態は、なかなか大変です。
そのため交通事故の子が運ばれてきたら、私たちは大急ぎで一つずつ検査していくしかないのです。


 事故で起こりうること 

ありとあらゆる外傷です。当たり前ですね 笑

事故の子がきたら、私たちはまず『意識レベル』『呼吸状態』を確認します。
この二つが問題なさそうなら、検査を進めていきます。

・身体検査:口の中や爪のチェック、外傷・出血箇所の有無
・血液検査:貧血・ショックの有無、各種臓器・数値のチェック
・レントゲン検査:骨折・脱臼の有無、横隔膜ヘルニア・胸水の有無
・エコー検査:腹水の有無、各臓器の損傷の有無

これらをなるべく手早く見ていきます。
身体の小さいネコたちにとっては、車は軽くぶつかるだけでも大きな衝撃。
何らかのダメージを受けていることがほとんどです。

また、その直後は大丈夫でも、のちに変化が訪れることも…
病態のそれぞれ(横隔膜ヘルニア、骨折)についてはおいおい書いていきます。


どういった状況にしろ、誰にとっても交通事故は緊急事態。
事故を目撃、もしくは事故にあったかもしれない子がいたら、すぐに動物病院へ!


さて、ながーいGWが終わりましたね!

私もいつも通りのお休みに+1日もらいまして、少しゆっくりできました


本当は笠間市の陶炎祭に行こうと思ってたのですが、なんとずっと雨…
甥っ子姪っ子とお絵かきをして過ごしました 笑

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これは甥っ子と私と姉の絵
彼は最近恐竜にどハマりしてまして、ジュラシックワールドを何回も見ては恐竜の名前を覚えています。
こちらプテラノドンだそうです
甥っ子の宝物のフィギュアを見て描きました!
(この直前にこのプテラノドンをお散歩に一緒に連れて行って、田んぼに落としてますが…笑)


甥っ子の絵、なかなか上手でしょ?
『いつもアウト』
になってるのが気になりますが…

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姪っ子はブリを描いてくれました
めっちゃ可愛い

彼女はなんと将来獣医になりたいそうです!
なんかうれしいですね~



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本物のブリはこんなんなんですけどね……笑



こんばんは!
始まりましたねぇ!アベンジャーズ!
私はまだ見てませんが、より楽しめるように絶賛予習中です


さてさて、今回はフィラリアについてPart2
お薬についてです

最も古くから活躍しているフィラリア予防薬の成分『イベルメクチン』は、日本の大村教授によって開発されました。
イベルメクチンは犬達だけでなく世界中のフィラリア症に苦しむ人達を救いまくり、『世界を変えた薬』のひとつとして評価されています。(フィラリア症は人間にも感染するものもあります)

後に大村教授はノーベル賞を受賞
このニュースは記憶に新しいのではないかと思います


 フィラリア予防薬の種類 

そんなわけでフィラリア予防薬には実は長ーい歴史があります。
昔はフィラリアで死んでしまう犬達がとても多かったので、フィラリアの予防薬の開発はまさに革命でした。

フィラリア予防薬として使用される薬剤成分は主に
イベルメクチン
モキシデクチン
ミルベマイシン

といったマクロライド系に分類される駆虫薬です。

先に書いた『イベルメクチン』は、1番最初に開発されたお薬。
土壌から発見された成分で、これまではどうすることもできなかったフィラリア症の子達をたくさん救ってきました。


…しかしそんな優秀なイベルメクチンですが、1つだけ弱点がありました。
それが『イベルメクチン中毒』です。


イベルメクチンは、生き物の細胞膜上に存在する『P糖タンパク質』によって追い出されるため、基本的に脳内に侵入することはできません。
そして『P糖タンパク質』を生成しているのが『MDR1』と呼ばれる遺伝子です。

しかし、MDR1遺伝子に変異が起こってしまうと、P糖タンパクがうまく働くことができず、本来侵入してはいけない脳内へ侵入してしまい、中毒症状を起こしてしまうのです。


このMDR1遺伝子は、変異を生じやすい犬種が存在します。
スムース・コリー、ラフ・コリー、シェルティー、オーストラリアンシェパード
これらが遺伝子変異頻度の高い犬種達、つまり『イベルメクチン中毒を起こしやすい犬種』です。
コリーに関しては、約50%が変異を起こしているとされますので、かなりリスキーです。


そこで、そんなイベルメクチンの弱点をカバーするため新しい薬剤が開発されました。
それがモキシデクチンとミルベマイシンですね
これらはより安全性が高く、どの犬種でも使用することが可能です。

イベルメクチンがあったからこそ、これらの安全な薬剤が生まれたというわけですね


 フィラリア予防薬の効果 

今でこそ
『実際フィラリアの薬飲んでなくても大丈夫じゃん?』
なんてことを都心部の飼い主さんから聞くことがありますが、結論から言うと

そんなことはありません!


フィラリアが少なくなった現代でも、(特に私の住んでいる地域では)
『1年間予防薬を飲まなければ、30%の子が感染する』
と言われています。
中にはたった1月飲み忘れてしまっただけで感染してしまう子もいるくらい、今でも油断できない病気です。


『フィラリア予防薬は予防薬ではなく駆虫薬』と書きました。
実際、フィラリア予防薬は、蚊から侵入した幼虫が体内で1度脱皮した体内移行幼虫(L4)に対して最も強く効果を示します。
前回で書いた通り、L4が成虫までになるまでは約3か月。
だから
『蚊が出始めて1か月後~蚊がいなくなって1か月後まで』
フィラリア予防薬を飲ませるんですね


そんなわけで、予防期間はその地域によって違います。
私が勤めている病院の地域では、5月から11月まで蚊がいるので予防期間は6月~12月までです。
ひと月でも飲み忘れがある場合は念のためフィラリア検査を実施しています。


フィラリアが日本で順調に減ってきているのは、他でもない飼い主さんたちの努力の賜物です。
フィラリア症の犬が減れば、フィラリアを運ぶ蚊も自ずと少なくなります。
ただ、少しのどかなところに行けばまだまだ発症例がいるのも事実。



予防できる病気でかわいい愛犬達を苦しめないために…
毎月の予防薬、お忘れなく!

こんばんは!

世間はGW真っただ中。
私もお休みらしく、映画館で『キングダム』を見てきました

原作を全く知らない私でもめちゃくちゃ楽しめたので、これから見に行く方はおススメです!
とりあえず長澤まさみに惚れる映画でした。



さて、今回は犬と暮らしていれば切っても切れない『フィラリア』について。
『蚊が出てくれば、フィラリアの予防が必要』
『フィラリアに感染すると大変なことが起こる』
ということは皆さんご存知かと思います。


しかし、フィラリア症が一体どういう病気で、お薬がどのように効果を示しているか…
ご存知の方にも、そうでない方にも読んでもらうために、今回は少し詳しく書こうと思います。


 フィラリア症とは? 

フィラリア症とは、その名の通り『フィラリア』という寄生虫が原因となって起こる病気です。
フィラリアは線虫に分類され、糸状虫とも呼ばれます。
(犬に寄生するのは犬糸状虫ですが、人に感染する種類も存在します)

フィラリアはによって伝播されます。
寄生虫にはノミダニのように体表に寄生するものや回虫や鞭虫という消化管に寄生するものがいますが、フィラリアが寄生する場所は主に『血管内』です。

蚊の体内から犬の体内に入った段階ではフィラリアは幼虫、末梢血管内に寄生しています。
しかし血中で成虫へと成長すると、最終的には心臓の右心室・肺動脈へと寄生します。


ここまでになってしまうと、全身的に症状を示し始めます。
右心室は肺へ血液を送る仕事をしていますから、右心室に成虫が大量に寄生すれば肺にうまく血液を送れず、戻ってくる血液も少なくなってしまいます。

そうなれば身体は十分な血液の循環ができなくなり、お散歩の途中でぐったりしたり、咳が出たり、腹水が溜まるなどの症状を示します。

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 フィラリアの感染経路について 

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フィラリアにも、幼虫の時期と成虫の時期があります。
また、他の動物と同じように♂と♀がいて、交配によって成虫からミクロフィラリアが放出されます。

フィラリアに感染した犬が蚊に刺されると、このミクロフィラリアが蚊の体内に入り、蚊の体内で感染幼虫へと成長します。
さらにこの蚊が他の犬を吸血することで、犬から犬へ感染が伝播していってしまうのです…

幼虫は犬の末梢血管内を移動し、先ほど書いた通り最終的には『肺動脈』『右心室』に到達します。
この間、約3か月!なかなかの大冒険ですね


実は毎月飲ませるフィラリア予防薬が作用するのは成虫になるまでのこの3か月。
3か月の間ならいつ駆虫してもいいわけですから、前後の安全域を考慮して、毎月1回お薬の投与をしているというわけですね


つまり、フィラリアの薬は『予防薬』というより『駆虫薬』といったほうが正しいんです



次回は薬の種類と作用について。
ではではよいGWを~

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