獣医師みやも&ブリ太郎のすったもんだ日記

愛猫ブリ太郎と、動物病院の日常やどうでもいい日々を綴ります。

2019年01月

こんばんはー!
昨日仕事初めをしたと思いきや、一変今日は一日家から出ずに過ごしたよ!
ゼルダしすぎてハイラルから出たくないよ!

さて、そんなは戯言置いといて。
今日は 犬猫の避妊・去勢手術の必要性 についてです。
私は避妊手術について昨日の記事で
人間が飼うなら最低限必要なこと 
と書きました。ではそれはなぜか?

それはずばり
手術しとかないと後で後悔する(ことが多い)から
です!

いや、それがなんだっちゅー話ですよね。

避妊・去勢手術(以下不妊手術)をすることで得られる主なメリットは大きく分けて3つです
①望まない出産が避けられる
②”問題行動”の減少
③病気の予防

①については当たり前ですが、とても重要なことです。
犬や猫たちは、生後6か月程度で赤ちゃんを作ることが可能になります。

『望まない妊娠』というと想像しにくいかもしれませんが、実際はとても多いです。
例えば、庭で自由にさせていたら外からよその犬がやってきて、子どもができてしまったり。
男の子でも、何かのひょうしに外に飛び出してよその家で子どもを作ってきてしまうかもしれません。

『うちの子は大人しいからそんなことしないわ!』

…そうは言ってもそれは普段の話。Heat(発情)中の動物の行動力は予想を超えます。
いつもは外に出ようともしない愛猫が大声をあげながら網戸を破って出ていって、帰ってきたらお腹が大きくて…
なんて嘘みたいな話も全然珍しくないです。
もちろん出入り自由な環境で飼っている子(特に猫)であれば、その危険は特に高いでしょう。

でも、室内や囲われた小屋で飼っている子も油断は禁物!
実際10年以上前、私の実家の雌犬にHeatが来たとき、どこからか雄犬がやってきて頑丈な犬小屋の金網を破って侵入してきたことがありました。(その頃まだ不妊手術をしていなかった)

昨日もお話しした犬猫の年間殺処分数。43000頭のうち約半数は幼猫・幼犬です。
ほとんどは望まない妊娠によって産まれた子達ですから、適切な不妊手術が行われていればこの数はグッと減らせたわけです…。

②はどうでしょうか。
不妊手術を行うと、性ホルモンが原因で起こる問題行動が減少します。
問題行動として有名なのは、雄猫であればのスプレー行動や咆哮、他の雄とのケンカ。雄犬であればマウンティングやマーキングなどですね。
雌の行動はあまり目立ちませんが、やはりHeatの時期はそわそわしますし、かなりストレスが溜まります。(私たちもイライラするんですから…)
問題行動というと、人間から見た困った行動 と捉えられがちですが、動物自身への問題というのもあるんですね。
いずれにせよ、子犬・子猫を産ませる予定はないのであれば、お互いのために不妊手術をすることをお勧めします。

最後に③
これは私たちの立場から言うと1番重要なことです。
不妊手術によって予防できる主な病気を挙げてみます。

【メス】
・子宮蓄膿症
高齢の雌の病気でとっても怖いものの一つです。
症状は下痢や吐き気、食欲不振など分かりにくいものばかり。
発見が遅れれば命に関わる病気です。子宮に膿が貯まる病気ですから、避妊手術で100%防げます。

・乳腺腫瘍
乳腺にできる腫瘍です。
犬では半分は良性、もう半分はいわゆるガンです。猫ではほとんどが悪性に分類されます。
発症には性ホルモンが関わっているとされ、初回発情前に手術を実施すれば発生率は0.05%、2回目までに行えば8%未満に抑えられるとされています。

【オス】
・精巣腫瘍
精巣にできる腫瘍です。
細かく分けるといくつか種類があるんですが、ここでは説明は省きます。
ほとんどは良性ですが、もちろん悪性に分類されることもあります。
腫瘍は高齢になってから発生率が上がりますから、良性悪性いずれにしても手術のリスクは高いです。
これも早めの去勢手術によって確実に予防できます。

・前立腺肥大
雄性ホルモンによって前立腺が肥大してしまう疾患です。
軽度な状態であれば体に影響はほとんどありませんが、重症例になると前立腺によって直腸が圧迫されて排便ができない…なんてことも起こります。
7歳以上の未去勢オスでは、大きさの差こそあれほとんどの子で発症しています。

他にも肛門周囲腺腫や会陰ヘルニアなど、予防できる病気はたくさんあります。
…ふぅ。不妊手術のメリットは以上です。

さて、不妊手術のメリットは分かった。
でも手術によるデメリットはないの?

もちろんあります。リスクとしては以下の3つが挙げられます。

①太りやすくなる
②性格が変わる
③麻酔のリスク


①は術後に困ったこととして飼い主さんから最も言われることです。
これは性ホルモンが減少することで活動量が減ることが原因とされますが、実際は飼い主さんが手術後の犬猫たちをかわいそうに思って甘やかしてしまうことが原因になっていることが多いようです…。
不妊手術後の子用のごはんもありますから、活用してみて下さいね。(ブリも使ってます)

②は問題行動にも関連しますが、不妊手術をすると以前よりも大人しくなる子が多いです。
飼い主さんによっては前の方が元気があって良かった!と思うかもしれません…

③については避けられないことなのですが、動物たちの手術には全身麻酔が必須です。
麻酔への耐性はその子によって違い、術前検査をしっかり行っていても完全に把握することは難しいです。
近年では麻酔薬も安全性の高いものが用いられており、私たちも細心の注意を払って手術を行っています。ですが全身麻酔は場合によって命に関わることもあるため、この3つの中では最も大きなリスクと言えるでしょう。
もちろん高齢で体力が落ちている子ほどリスクは高まりますから、手術を検討している場合は早めに行うことをお勧めします。


不妊手術を拒否される飼い主さんの意見としては
『自然な状態でいさせてあげたい』
『健康な体にメスを入れるなんてかわいそう』
『全身麻酔が怖い』

というものが多いです。

確かに目の前の可愛い盛りの愛犬愛猫たちが痛い思いをするのを見るのは苦しいでしょうし、麻酔の心配は伴うと思います。特に不妊手術は動物医療特有の手術の一つですから、身近にない分迷うのは仕方ないです。
ですが、私たちが働く現場では『早めに不妊手術していたらこんな事にならなかったのに…』と感じてしまう子達がとても多いのです。
高齢になって病気になってから手術をするのとでは、麻酔のリスクは比べ物になりません。もちろんお金もかかります。
予防できる病気で苦しむ動物や飼い主さんを見たくはないんです。
どうか、その子の一生を長いスパンで見てください。


まとめますと、やはり不妊手術は
人間が動物を飼うなら最低限必要なこと
だと思います。人間社会で動物と仲良く暮らすために、長く健康でいさせてあげるために、最小のリスクでできることなんです。

ただ、実際に手術を行う決断をするのは飼い主さんですから、
私は少しでも日々の診察で不妊手術の必要性を伝えられればいいなと思います。



さて、今日は風の谷のナウシカですね!
私はジブリの中でユパ様が1番かっこいいと思います。

ではでは!

こんばんは!
私は午前中、今年の仕事初めをしてきました。
お正月の間は獣医は1人、看護師は2人で診察します。
やはり年末年始にかけて体調を崩すコが多いですね…

さて、今日はブログのタイトルにもなっている私の愛猫『ブリ太郎』との馴れ初めの話。

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2017年4月のある朝、病院の裏口前に小さな段ボール箱が置かれているのを発見しました。

『げっ!!!!!』


動物病院あるあるかもしれませんが、スタッフが通る玄関前に段ボールとなれば嫌な予感しかしません。
(にゃーにゃーーにゃーーにゃー)
ほらもう開ける前から中身分かります。

パカッ

ぶり1

あんれまーーーちっちゃな6つ子だこと!
まだ目も開いていないし、だいたい生まれて数日といったところでしょうか。

これは体をキレイにして箱を移し替えた後の写真なのですが、保護当時は箱もボロボロで湯たんぽも入っていませんでした。(リボンはどの子か見分けるために付けてます)

入っていたのはえらくタバコ臭いタオル一枚だけ。
これはひどい……

さらに驚きなのは、捨てられた時間。
うちの病院はこんな時のために玄関に防犯カメラを設置しています。
私たちも何もしないわけにはいかないので、空き時間にみんなで確認することに

どれどれ……お、映ってる映ってる!

動画には、箱を抱えて歩いてくるおばさんが一人。さぞ周りを警戒して焦って置いていくものかと思っていましたが

すたすたすた…どすん。すたすたすた……

特にキョロキョロしたりためらったりする様子もなく、真っ直ぐ玄関前に段ボールを置いて振り返ることもなく去っていきました。
時間は午前3時

4月とはいえ、まだ夜は冷え込む時期。
特にその日はいつにもまして寒い朝でした。そんな日に生まれて間もない子猫を置いていくなんて…

きっとその人にとっては動物病院の前に子猫を置いていくことなど普通の行為なのでしょう。
罪悪感など微塵も感じていないような様子でした。

子猫にとって、大敵なのは低体温・低血糖です。
特に生まれたばかりの子猫では、この二つは直接死につながります。

捨てられたのは午前3時、私たちが来るのは8時ですから、少なくとも5時間は何も口にしていないことになります。そしてそんな寒空の下。
よく生きていてくれました…
動物たちの生命力には日々驚かされます。

さて、そんな非常識な人間に対して怒り心頭な私たちですが、そう文句ばかり言っている暇はありません。
突然6頭もの乳飲み子が増えたのですから

手のひらサイズの子猫の世話はとても大変です。
この時期の子猫では、授乳は2~3時間ごと、同時に排尿・排便も私たちが助けてあげないといけません。体温も下がらないように湯たんぽもこまめに交換して…
基本的に人の赤ちゃんと同じです。それが6頭、離乳するまで毎日ですから、気が遠くなりますね。

子猫の育て方については、詳しくはむーちょさんの『てのひら子猫の育て方』をご覧ください。
私が見た中では最も詳しく、分かりやすく書かれています

昼間は私たちも普段の診察がありますから、合間合間ににミルクをあげて、夜は交代で自宅へ連れて帰り…
2か月を過ぎて離乳してきた頃から、6つ子たちは徐々に貰い手がついてきました。
ぶり2
目も開いたしごはんも自分で食べられるよ


そんな中、なかなか貰い手がつかない1匹がいました。
それが今私の後ろでソファを陣取っている『ぶり太郎』です。

うちの家族になるまでもうひともんちゃくありましたが、それは割愛。
こうしてぶりは無事うちの猫となったのでした…

ぶり4

こんなにおっきくなっちゃって 笑

そして今では…
ぶり5
このふてぶてしさ 笑
なんだよその目は。わかったよさっさと遊ぶよ。


ぶりが家族になって毎日楽しいですし、充実しています。
でもそれは結果論。
読んで分かった通り、ぶりは元々『捨て猫』だったんですね。

捨てた方にも事情があったのかもしれません。そりゃ6頭も子猫が増えたら生活は変わりますからね。
でも私たちにとっては
『そんなこと知ったことか!』
というかんじです。

実際『猫が増えて飼えない…』というお悩みを抱える飼い主さんも来られます。
やむを得ない事情もありますし、増やしてしまった飼い主さんを責めてもしょうがないですから、私たちも里親探しなどできる限り協力します。
でもね、そうなる前にもう一つできることがありますよね。
そう、『避妊・去勢手術』です。
避妊手術の意義や必要性については後日まとめますが、私は避妊去勢手術は
人間が飼うなら最低限必要なこと
だと思います。(繁殖する場合を除いて)

ただ生まれてしまったのならそれは仕方ありません。
でもそれなら 捨てないで 責任もって育てて ほしいのです。
動物たちを捨てることは立派な犯罪です。そしてその前に命を捨てる行為なのです。
43000頭1年間で殺処分される犬猫の数、うち半数は幼犬・幼猫です。
これが何を意味するか分かりますよね…

幸いぶりやぶりの兄弟は元気に過ごしています。
でも捨てられた子たちが運よく保護されて育てられるのはほんのひと握りです。

『うちではもう飼えないよ…』
それなら私たちに一言相談して下さい。
できることは少ないですが、協力しますので!



ではでは、明日から通常業務の方も多いでしょうか?
がんばりましょ~

こんばんは!
今年のお正月は暖かいですね~
私は甥っ子姪っ子と縄跳びをして姉共々ヒザを壊しました。
まだこの世で5、6年しか使われてない新品の身体と自分達を一緒にしてはいけませんね。

さて、今回は大学生活の続き、後半戦です。
4年生となれば6年間もある学生生活といえども高学年と呼ばれます。
しかし6年間って長いですよね。だって小学生とかめちゃくちゃデカくなるし。


4年生
いつの間にか高学年になっていることに焦りを隠せない4年目。ついに研究室に配属される。

4年生では、獣医学生にとっての一大イベントが待っています。それが
『研究室配属』
です。
理系学部の学生は基本的に高学年になれば全員配属されます。文系学部でいうゼミでしょうか?(よく分かってなくてすみません)
当たり前ですがそれぞれの研究室には部屋があり、配属されると自分の机がもらえます。
そしてその研究室の教授(私たちはボスと呼んでいた)から研究テーマをもらい、6年生までの3年間各自研究に勤しむのです。
研究室に入るというより、教授につくというほうが正しいかもしれないですね。

ちなみに一大イベントという書き方をしましたが、基本的にどの研究室に行っても受ける授業は同じですし、進路にも特に影響はしません。
ただ、当時の私たちにとっては入る研究室というのは人生の全てのように感じていたのです。
というのも、その後の学生生活が大きく変わってくるから。
獣医学科では、研究室は大きく分けて『臨床系』『基礎系』に分かれます。
臨床系は代表的なものでは『外科学教室』『内科学教室』『臨床繁殖学教室』などなど。あまり馴染みのない方でも分かりやすいかもしれません。
実際、入学したての1年生はとりあえず外科内科に憧れがちです。
私も臨床系に分類される『画像診断学教室』に配属していました。

臨床系には一つ大きな特徴があります。それは 付属病院で実際の診察に携わること です。
もちろんまだ学生ですから実際の診察は行いません。自分の研究室のボスについていって診察のお手伝いをするような形ですね。(診察は小動物と大動物で別です)
お手伝いといっても内容は結構ハード。詳しく書くと怒られちゃいそうなのでやんわり?表現しますが、奴隷のごとく働かされて自分の時間が持てない研究室も存在しました。(私がいた頃の話ですが)
また、特にハードなのは診察に出ながら自分の研究も進めないといけない事ですね。
そんな忙しい研究室が多い臨床系ですが、貴重な経験が積めるということで毎年絶大な人気があります。

では基礎系とは?
代表的なものは『解剖学』『病理学』『分子病態学』など。基礎系は実は有名なものからなんじゃそれ?というものまで種類がいっぱいあります。
内容も本当に様々。基本的には研究(実験)がメインですが、解剖学教室のように下級生の解剖実習の手伝いを1日中したり、病理学教室のように外部から依頼された病理検査を行うなど、研究とは別にお仕事がある研究室もあります。
基本的には臨床系より時間があると思われがちですが、もちろん教室によっては臨床系より忙しいです。

このように、研究室それぞれに特色があります。
先に『研究室は進路には影響しない』と書きましたが、正確には少し影響します。
影響する…というか、『研究室によっては自分にとって有利な武器が手に入る』といったとこでしょうか。

例えば外科、やはり手術の外周りや器具の準備を行うので、術式や器具に詳しくなります。解剖であれば、あれほど大変な解剖実習を後輩と一緒に何度も行うのですから、解剖に関する知識は他の学生と比べものになりません。
…といった風に、それぞれ手に入る武器が違いますから、自分が進みたい分野を考えながらみんな研究室を選びます。(入った研究室の影響で進路を変更する人もいますが)
さらに4~6年生の大学生活が研究室によっては大きく変わるわけですから、慎重にならざるを得ません。(殴り合いで決めた先輩もいました)
外から見たら馬鹿らしいと思うかもしれませんが、当時の私たちはそれほどに必死でした(笑

研究室の話で終わった…
とにかく、4年生はやはり新しい環境になるので心身共にとってもバタバタします。
研究室に慣れながら授業も臨床系もものがぐっと増えてきますから。
そして気づくと5年生になっているのです。。。


5年生
研究室にやっと慣れてきたけど、授業の内容はどんどん深く専門的になってくる。
そして人によっては卒論が終わる(もちろん私の話ではない)


5年生…あんまり覚えてな…もにょもにょ
めっちゃ忙しかったことは覚えてるんだけどなぁ…
内科の試験とか外科の試験とか臨床繁殖の試験とか試験とか試験とか

上で触れてないですが、4年生からはいよいよ臨床系の内容の授業が増えてきます。
実際の病気の内容になってきますから、やはり内容も細かく、試験は難しくなります。

5年生は研究もどんどん進める時期でもありますから、学生生活は勉強に(遊びに)多忙を極めます。

6年生
卒論…もう二度と…したくない…国試……

もう言わなくても分かりますよね。
卒論国家試験の年なんです。
卒論は4~6年生の研究の集大成。実験を進めてまとめて、秋の卒論発表会で全教授の前で発表します。
もう二度としたくありません。
正直卒論が苦痛すぎたおかげで、この後の国家試験勉強はラクでした。

獣医の国家試験は毎年2月に行われます。
卒論発表はだいたい11月ですから、12月~2月の約3か月で6年間学んだことを覚えるわけで、よく考えると結構大変です。

実際は正気を保って毎日きちんと勉強すればほとんどの人は合格できるんですけどね。
これで国家試験に合格すれば、晴れて獣医師免許を取得できるわけです!

まとめると私たちの過ごした6年間ってこんなもんですが、実際はめちゃくちゃ濃くて忙しくって大変で楽しかったです。
勉強と同じくらい遊んだしね。

また学生時代に戻りたいな~と思ったり、
あ、でももう卒論したくない!って思いとどまったり。

まあ何はともあれあの6年間は私にとって最高の思い出ですね。
また明日から頑張ろう。


私は明日が働き初めです!
皆さま素敵なお正月をお過ごしください

皆様新年あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いいたします。

さて、本日は元旦。わたくしみやもも例外なく実家に帰省しております。
(といっても今のアパートから20分ほどの場所ですが…)
私は割と頻繁に実家に行きますが、いつもは遊びにいっても日帰り。ブリはお留守番です。
しかし今回はそうもいかず…やむなくブリも連れて実家に帰っております。

いまいち気乗りしない理由は年末年始の特性にあります。
それは
小さな子供たちがたくさん来る
ということ…

私自身、甥っ子や姪っ子に会えるのはとてもうれしいしにぎやかで楽しいのですが、そこは問題ではありません。
問題はそう、ブリ太郎

一般的に猫と小さな子供は相性があまりよろしくありません。
小さな子とテンションが同じ子猫ならともかく、落ち着いた成猫は環境の変化や構われすぎるのを嫌がります。
彼らはあくまでマイペース。自分が遊びたい時に遊ぶ、寝たい時に寝る生き物なのです。

それでもお構いなしなのが同じくマイペースの子供たち。
実家には真っ黒な中型犬(ヒメ:人間大好き14歳)もいるのですが、きっと自分たちと同じくらいの大きさの犬はちょっと怖いのでしょう。やはり小さなブリ太郎が断然人気があります。
特に大人しくて怒ることのないブリは子供たちの恰好の遊び相手。みんな抱っこしたい触りたいと取り合いになってしまうのです…(私も注意はしますが)
やはり小さな子ほど力加減を知らないので、強く抱っこしたりしてしまいますよね。
そして逃げるブリ、おいかける子供たち、逃げるブリ、おいかける子ど……

さてそんないつもと違う環境に置かれたナイーブな猫たち。どうなってしまうでしょうか?
皆さんご察しの通り、やはり体調を崩します…

動物病院では、とある時期に患者さんが増えます。
ひとつは季節の変わり目。ふたつめはお盆やお正月などのイベントの後
この2つの出来事、動物達が体調を崩す共通の原因があります。
そう『ストレス』ですね。

皆さんが思っているより、動物たちにとってストレスは身体に影響を及ぼします。
例えば豚さん
彼らは姿に似合わずとっても繊細。実はストレスに弱い動物No.1なのです。
彼らはキレイ好きで暑いのも寒いのも嫌い!さらには車酔いまでするので、輸送をすれば熱を出して肉質が落ちてしまいます…。(いわゆる『ムレ肉』)
そのため畜産農家さん達は飼育環境や輸送時間にとっっっても気を遣うのです。

あなたが飼っているワンコ、最近やたら手先を舐めたり尻尾を追いかけてぐるぐる回ったりしていませんか?ニャンコであれば、皮膚は荒れてもないのにお腹やお尻を何度もグルーミングしていませんか?
突然吐いたり、下痢をしたりした時も要注意!実はそれ、全部ストレスが原因なんです
ストレスが原因で起こる症状で多いものは
①消化器症状
②皮膚症状

です。

①消化器症状
これは急激なストレスがかかった時に出ることが多い印象です。
それこそ『お盆でたくさんのお客さんが家に来た』とか『トリミングに出した』などですね。
軽いものなら少し便が緩くなったり数回吐いたり…といったものですが、重症化すると食欲がなくなってしまったり便や嘔吐物に血が混じることもあります。
だいたいはその原因が無くなれば自然と良くなりますが、稀に慢性化してしまうことがあり、油断は出来ません。
特に犬や猫は私たちと違って肉食動物ですから胃酸が強め。そのため吐くことを繰り返せば胃炎・食道炎を起こしやすいのです。
吐いたり下痢をしたりが続いてしまっている時は早めに病院へ連れていきましょう。

②皮膚症状
これはどちらかというと慢性的なストレスが原因になっていることが多いです。
例えば『最近赤ちゃんが生まれた』『仕事が変わって留守が多くなった』などですね。

犬であれば、傷もないのに前足の指の間を舐めで皮膚を壊す(指間皮膚炎)。猫であればお腹やお尻の毛を何度も何度もグルーミングする(過剰グルーミング、舐性皮膚炎)という症状が見られます。
飼い主様は『最近指をよく舐めてるなーと思ったら真っ赤になってて…』『気づいたらうちの猫のお腹の毛がツルツルになってて…』と言って来られることが多いですね。特に猫は気づかれにくいかも
実際猫達の場合はもともとの性格か原因となっていることも多いので、なかなか治療は難しいです。

意外なエピソードでは、私が診ていた柴犬ちゃんの皮膚炎。
この子、最近前足後ろ足をひっきりなしに舐めるという症状で来られました。もともと柴犬は皮膚病が多い犬種。色々な皮膚病を疑いました。しかしアレルギーやアトピー、膿皮症、寄生虫など、色々な検査をしても特に引っかからず、治療にもあまり反応を見せず。
どうしたものか…と頭を悩ませていたら、ある日急に症状がピタッと治まりました。
原因はなんと
『隣の家の工事』
家の外に小屋を構えていたこの柴犬くんは、長い期間出入りする得体の知れない巨大な機械や大きな音に日々怯えており、自分の指先を舐めることで気を紛らわしていたのでした…(泣
柴犬は犬の中でもトップクラスにナイーブ!!早く気づいてあげられなくてごめんね。工事はどうしようもないけど

実は動物病院でも同様のことが起こります。
やむを得ず入院やホテル預かりになってしまうワンコやニャンコ達。長期になればなるほどストレスを感じ、吐いたり下痢をしたり、足先を舐めてしまうことが多くなります。


そんなデリケートな動物達。
特に彼らは言葉が通じないぶん何が何だか分からずストレスを感じてしまうことが多いです。
でも原因となるのはイベントごとやホテルや入院などやむをえないことばかり。
全部を取り除くのは実際不可能でしょう。
でも、例えばお外で花火や工事をしている時はお家の中に入れてあげたり、お客さんがたくさん来ている時は静かな逃げ場を作ってあげたり…
少しだけでも出来ることはあります。
そうしてちょっとの気遣いとケアをしてあげて、動物達と上手に付き合っていけたらいいですね。


でも調子悪くなっちゃったら早めに病院に連れてきてください
それではみなさんよいお正月を~
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実家の14歳の雑種犬 ヒメ(超性格いい)
『アタシならいっぱい遊んであげるんだけどねえ〜』 

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