獣医師みやも&ブリ太郎のすったもんだ日記

愛猫ブリ太郎と、動物病院の日常やどうでもいい日々を綴ります。

2019年01月

こんばんは!

今Twitter上でとある問題が話題になってますね。
それが
猫の避妊・去勢手術ミスについて


事の詳細としては
とある猫の飼い主さんが自身が飼っている雄猫の去勢手術をかかりつけでお願いしたところ、
確認不足で避妊手術、つまり開腹されてしまった
というもの。

獣医側の言い分としては、飼い主に『避妊手術をお願いします』と言われて、避妊手術=雌と思い込んだ とのことでした。

Twitter上では
『獣医のくせに雄雌も分かんないのか』
『麻酔かけて毛を刈っても分からないの?』

との声が多いですね。
なので今回は 猫の性別判断について 書こうと思います。

正直、例の問題は獣医師の確認不足と、問題があった後の飼い主とのコミュニケーション不足によって起こったものと思います。
避妊手術と去勢手術が混同している飼い主さんもいますから、今回飼い主さんには全く落ち度はないです。

ただ、麻酔をかけて毛を刈っても分からないのかどうか についてはちょっと触れなければなりません。

まず、そもそも犬と猫の体の構造は全く違います。
まずは犬の雄雌の違いについて。

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犬については知っている方がほとんどでしょう。
仰向けにしてお腹を見れば、一目瞭然ですね。

男の子の場合は下腹部にペニスがあり、その下に睾丸が見えるはずです。
バンザイで立たせるだけで十分判別可能、分かりやすいです。

では、猫ではどうでしょうか。

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もちろん猫のオスにもペニスと睾丸が存在します。
ですが、犬のようにお腹の目立つところにペニスがあるわけではないんですね。

このイラストでは仰向けになれば見えるように書いてますが、
実際には仰向けで猫の睾丸・ペニスはほとんど見えません…

特にふわふわの毛が生えている猫達。
注意して確認しようとしなければ、そのまま気付かずに手術に入ってしまう可能性は十分にあります。


かといって、だから間違えても仕方ないと言っているわけではありません。
私たち獣医師は、最初に避妊去勢手術について教わる際に『性別の確認』を徹底するよう言われます。

……なぜなら飼い主さんも勘違いしていることがあるからです。

先ほども言ったように、猫のペニスはおなかにはありません。
飼い主さんの中には、犬の要領でおなかをさすって
『ああ、おちんちんがない。この子はメスだな』
と思ってこちらに避妊手術を依頼し、預かりの時に診察室で確認するとオスだった…
なんてこと、実は少なくないんです。

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最も分かりやすいのは、立った状態で尻尾を持ち上げて直接陰部を確認する方法ですね。
私たちはこの方法で預かり時に必ず確認するようにしています。

去勢手術をするような大人の子であればこれで確実に分かるので大丈夫。


問題は睾丸がまだ降りてきていない幼猫の性別チェックです。(幼猫で去勢はしませんが)
睾丸が分かりにくい子の場合は、肛門から尿道口までの距離で見分けることもできます。
距離が長い場合は男の子短い場合は女の子ですね。
慣れれば簡単に見分けることが可能です。



猫の性別チェック
意外にもトラブルの種になりやすいところです…
私たちも気を付けないといけないな、と改めて思いました。

こんばんはー
最近おでこがかゆいです。
成長するのかな?



さて、昨日は犬の会陰ヘルニアというのがどういった病気なのか書きました。
(ていうか『えいいんヘルニア』って変換できないんですね…ずっとコピペしてます)
今日はその原因についてです。


会陰ヘルニアの原因はちょっと複雑です。
なんせ本来あるべきはずの筋肉が薄くなってしまうんですからね…謎すぎます。

会陰ヘルニアが起こりやすいのは、中~高年齢の未去勢の小・中型犬、
つまり タマタマがついたおじいちゃん犬(小型) です。

会陰ヘルニアの原因として今言われているのは

①雄性ホルモン(男の子ホルモン)
②しっぽの運動性
③腹圧の上昇

この3つです。
①雄性ホルモン
これは現在最も重要視されているものです。
実際、うちの病院でも未去勢の男の子で発生しているのが圧倒的に多いです。
もちろん女の子でも発生することはあるのですが、私はまだ出会っていません。

これについてはたくさんの報告がありますが、アンドロゲンまたはテストステロンという2つのホルモンが関連しているとされています。(どちらも男の子ホルモンですね)

でも実はまだ関連が示唆される(可能性がある)という段階です。
ただ、これまでの報告からも日々の診察からも、早くに去勢手術を受けた雄犬と比較して、未去勢の雄犬の発生率が高いのは事実です。
以前の記事 避妊・去勢手術の必要性 でも触れましたが、会陰ヘルニアは去勢手術で予防できる病気のひとつとして扱っていいと思います。

会陰ヘルニアの手術の際はほとんどのコで一緒に去勢手術を行いますが、同時に去勢手術を行わなかった子達はヘルニア再発率が2.7倍高かったとも報告されています。
このことからも、少なからず男の子ホルモンが関連していることが考えられますね。


②しっぽの運動性

会陰ヘルニアの主な原因は、肛門挙筋尾骨筋が薄くなってしまうことにありますが、
これらの筋肉は尻尾の運動とも深く関係しています。

実際、好発犬種(よくこの病気が起こる犬)としてウェルシュ・コーギー、ボストンテリア、ボクサーといった断尾されている犬種や、M・ダックス、ジャーマン・シェパード、シェルティといった尻尾の運動性が低い(あんまり激しく尻尾を振らない)犬種が挙げられてますし、
逆に尻尾を激しく振りまくるレトリーバー達は発生頻度が極めて低いとされています。

あと、これはちょっと面白いなと思ったんですが、断尾を行ったコーギー犬は、断尾を行わなかったコーギー犬よりも明らかに発生頻度が高かったんですって。
 
尻尾ブンブン振れば鍛えられるんですかね…
やっぱ結局が筋トレがものを言うのでしょうか。


③腹圧の上昇

これは分かりやすいと思います。

そもそもヘルニア孔(穴)ができる原因としてはホルモン等かもしれませんが、
その穴からお腹の中のモノが脱出してしまうのを助長するものとして、
この『腹圧の上昇』が挙げられます。
腹圧の上昇とは、お腹に力が入ってしまうことです。

どういう時に腹圧って上昇するのでしょうか?
犬でいうとやはり

吠える
怒る


の2つが大きいですね。
実際、よく吠える・怒る子で発生が多いように感じます。


……これらが主な原因たちです。
②③については私たちではどうしようもないことかもですが、
①についてはどうでしょう?私たちの手で取り除くことが可能ですよね。

現時点では①が最も大きな原因だとされているので、会陰ヘルニアの予防については去勢手術はとても有効です。

実際に会陰ヘルニアになってしまったら、基本的に治療方法は手術です。
会陰ヘルニアの手術って結構大変なんです。
お金だって結構かかります。予防できるならしたいですよね…

やはり、去勢手術は早めにするに越したことはない!
会陰ヘルニアの手術をするたびに思うのでした……

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ちなみに猫ではほとんど起こりません(外傷を除いて)
よかったね!

こんばんは!
今日はセンター試験ですね…
あの緊張感、思い出すだけでぞわぞわします。



さて、今日は
会陰ヘルニア
について!

さてさて、同業者の方はさておき、みなさんは会陰ヘルニアについてご存知でしょうか?

ヘルニア
といえば有名どころは 椎間板ヘルニア ですね。
ヘルニアとだけ聞くと多くの場合これを連想するのではないでしょうか。


ですが、実はヘルニアはたくさんの種類があります。
鼠径ヘルニア、臍ヘルニア、陰嚢ヘルニア…
そもそも『ヘルニア』の言葉の定義は
体内の臓器等が、本来あるべき部位から『脱出・突出』した状態
を言います。

なので、発生する部位によって病気の名前も違ってきます。
今回はその中の『会陰ヘルニア』について。

会陰(えいいん)ヘルニア…
言葉通り会陰部に発生するヘルニアですが、病態としてはとっても分かりにくいものです。

全ての哺乳類には肛門がありますよね。
肛門周りや直腸はたくさんの筋肉で支えられています。IMG_0848

会陰ヘルニアは、この直腸を支持する筋肉たちがとある理由で萎縮することで発生します。
筋肉たちが萎縮してしまうと隙間(ヘルニア孔)が空いてしまい、そこからお腹の中の脂肪だったり臓器だったりが出てきてしまうんです。

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簡単な絵ですが、発生が多いのはここ(白矢印)です。
今回は脱出する臓器で1番多い、直腸で説明しますね。

正常の子の場合…
直腸を支える筋肉がしっかりしているので、基本的に直腸は肛門までまっすぐ走っています。
そのためスルンとうんちが出てくるんですね。
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しかし、この直腸周囲の筋肉が萎縮してしまうと…

IMG_0851

萎縮した筋肉の隙間から、おなかの中の臓器(直腸、膀胱)や脂肪が出てきてしまいます。
直腸がはみ出てしまうと、少しずつそのスペースに便が溜まってしまい…

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最終的には自力では出せない程になってしまうのです


でもこの会陰ヘルニア、やっかいなのは初期には症状をほとんど出さないこと。
いや、進行していて大きな隙間が空いていても直腸や膀胱などの臓器が出てこない限りが気付かないことがほとんどです。

大体の飼い主さんは、
『最近ウンチが出にくい…』
『肛門の横が腫れてきちゃって…』

と言って来られます。

ほとんどの場合は直腸が脱出してウンチが溜まってしまうことで肛門の横がもっこりしてしまうんですが、これは肛門に指を入れて摘便すれば一時的に症状は改善します。
最悪なのは
膀胱が脱出してしまう場合
ですね。

膀胱が挟まってしまうと、最悪オシッコが出なくなってしまいます。
全ての動物にとってオシッコはとっても大事!
丸2日もオシッコが出なければ、急性腎不全になってしまい命に関わります…。

全ての病気に共通しますが、
オシッコが出なくなってしまったらすぐ病院へ!!
が鉄則です。

さて、そんな色んな症状を出す会陰ヘルニア。
どうしてこんな厄介なことが起こるのでしょうか。


明日はその原因について書きます…。
ではおやすみなさい~
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こんばんは~
今日はお父さんとお母さんがたい焼きをめぐってケンカしていましたよ。
食べ物の恨みは怖いっていうけど、そこまでたい焼きに固執するのもすごいですね。


さて、今日はペットの餌の話。
餌といってもその内容についてではなくて、方法(?)についてです。

早速ですが、ブリ太郎はこんなものを使っています。

IMG_1795
こいつぁ自動給餌器です


私もブリと暮らし始めた頃は、毎回カップでお皿に移してあげていました。

しかし、私も曲がりなりにも獣医師。日によっては帰る時間がとっても遅くなってしまうこともあります。
母や父がいた実家なら代わりにあげてもらうこともできましたが、今の一人暮らしのアパートではそんなこともできず……
お腹を空かせたまま遅くまで待たせることが多くなってしまったのです。

ブリも空腹のあまりごみ箱荒らしを覚えてしまったりして困ったことも多くなり、
お互いよくないなーと思って導入を決心しました!

最近は自動給餌器もいろんなものがありますね。
私が選んだものはこちらになります。


https://a.r10.to/hfXk9z


この給餌器は
・24時間、分単位で時間の設定可能
・1日4回まで設定可能
・量は200gまで、5g単位で調節可能
・飼い主の声が録音できる
・2way電源(電池、ACアダプタ)

がウリのようです。(録音機能は使っていませんが…)

私が何より重要視したのは、電源がACアダプタ使用可能かどうか。

ごはんを給餌器に任せっぱなしにすると、私の場合
『いつの間にか電池切れてる!
ってなことが容易に想像ついたので…

あと、一気に補充できるように、容量が大きいのも重要ポイントでした!

これのお陰で朝寝坊した時も、帰りが遅くなった日も決まった時間にジャッと出してくれるのでとても助かってます…

こんな便利な給餌器ですが、ブリさんに限ってはひとつ困ったことがありました。
それは 
自動給餌器を破壊しようとすること 

です。


またこのパターン……

もともと食欲の鬼であるブリ。
自動給餌器を導入した当初は、自動でフードが流れてくる出口を覗き込んでは手をつっこんで…
私も
『まったくかわいいやつめ…』
なんてニヤニヤ眺めてました。

そんなある日!ブリは見てしまったんですね…
私がフードを補充するのを。
『あ!!そこにいっぱい入ってるんだニャ!!』
とめっちゃキラキラした目でガン見してました。

その日からブリと給餌器(と私)の戦いの始まりです

この給餌器、アメリカ製で丈夫にできているのでフタが空いたりしたことはないのですが、ブリがとにかく倒す!転がす!!
さすがにバンバン倒されれば、数粒出てしまうんですよね。
それに味を占めてさらに倒す…最悪のループです。
(写真で皆さん気付いたかもしれませんが、いつかフタを開けるのでは…と思ってすでにフタストッパーも付けてます 笑)

このままでは給餌器が壊れるか、ブリが諦めるのを待つかのどちらかしかないので今回も対策を練りました!
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それがこちら。

実家で古新聞入れとして活躍していたラックくんです。
これがなんとサイズぴったし!
ただ、このままではフードの受け皿が外に出なくて食べられないので、ちょっと改造しました。

下の一段を外して、少し斜めにして…
IMG_1798

あ、一粒出ちゃった。

なんだか窮屈ですが、なんとか食べられます。笑
いつもはこれをさらに毛布でカバーして見えないようにしてますが、これにしてからは倒されることはなくなりました。
勝利


…まあ、こんなトラブルもありましたが、機械としてはとっても優秀!
設定もシンプルで簡単でした。
(ケチって安い方(英語の説明書しかついてない)のものを買ったために、1portion=5gという単位が分からず初日に30portionと設定して150gモリモリ出したのはここだけの話)

最初は『自動給餌器なんているのかな?』なんて思っていましたが、使ってみるととっても便利!
これは手放せないです…


ただ、ごはんをあげるというのも立派なコミュニケーション。
本当は毎回飼い主の手から与えるのがいいんでしょうねぇ…
毎日基本的に同じ時間にあげられるという方は不要だと思います

Amazonにもあります(ちゃんと日本語説明書もついてます 笑


こんばんみ
冬も中盤に差し掛かりまして、みやもの全指先にひび割れが発生しました。
キーボードを打つのも激痛です…
全部冬のせいだ。


そんな冷え込む毎日ですが、やはり動物達も寒いもの。
お留守番中ずっと暖房やこたつを点けておくのも電気代やら火事やら心配ですよね。

そんな時に助けてくれるのが

ペットヒーター

私も去年、本格的に寒くなる前にヒーターを買いました!
ブリに買ったのはこちら

ペティオ ペットのための電気ヒーター
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毛だらけできったねぇ…

最近は本当に色々ありますよね。
私がヒーターを選ぶ際にポイントにしたのは
・暖かさ
・サイズ
・安全性
・電気代・値段

の4点

暖かさについては、最近のほとんどのものは問題はないと思います。
昔は熱すぎるものがあったり、全然暖かくないものもありましたねぇ…

動物で問題になるのは 低温やけど (人でもありますよね)
若い子は自分でちょうどいい温度を見つけて動きますが、シニアの子達や病気で動けない子たちはその調節ができません。
よかれと思って温度の高いヒーターを敷いたままにしたり、湯たんぽを体に密着させたままにすると
気付いた時には…ということになりかねません
動物達には毛がありますから、火傷やキズは特に分かりにくいですからね。
動けない子は適度に体位を変えたり、湯たんぽ等にはカバーをして温度が高くなりすぎないようにしましょう。

サイズ
これは当然飼っている子のサイズによりますよね。
ブリはSサイズにしました。
サイズ感としてはこんなかんじ
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ちょっと小さかったかも…

続きまして安全性
これは火傷の問題は置いといて、コードが保護されているかどうかの一点だと思います。
病院で色んな子を見てると、なんでもかんでもガジガジに咬んでしまう子もいますからね…
使っている状態でコードを咬めば、もちろん感電してしまいますから。
これは必須条件ですよね(大体の物はガードしてあるはずです)

電気代・値段
個人的に1番重要なポイント(笑
いくらいいモノでも、電気代が激高では使ってられません…
今回購入したヒーターは、1日フルで使っても1日当たり3.1円
本体自体もペットショップでは3000円程度とお手頃だったのでその点もよかったです。


もちろんもっとスペックの高いものもありましたが、
我が家はこれで十分満足しています。
ブリは今やこたつがついていてもこのヒーターの上に座ってます
気に入ってくれている、はず……

IMG_1770


スイッチついてないと睨んできます



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