こんばんは!
うぅ…花粉症がひどい…泣
油断すると鼻水が垂れてくるので鼻にティッシュ詰めてマスクするっていう屈辱的なスタイルで診察しております。

さて、今回はキャバリアについて!
キャバリアは茶色と白のコントラストがきれいな小型犬(中型犬サイズの子も…笑)
定番のブレンハイムの他、トライカラーやルビー等、毛色も複数あります

もともと安定した人気がある犬種ですが、最近飼っている方が多くなってきたように感じますね。

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 ルーツは? 

キャバリアの本名は
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
狩猟が盛んなイギリスで、獲物の鳥を茂みから追い立てる役目(=スパニエル)を担っていました。

名前からでも高貴なイメージ漂いますが、やはりルーツも名前の由来も高貴です。
まず『キャバリア』の意味は『騎士』
女性に礼を尽くす男性を指すんですって!素敵ですね奥さん!

また、イングランド王チャールズ1世・2世にとっても愛されたことから、『キング・チャールズ』の名前をもらったそうです。


もともと犬好きで知られた英国王室。
もともとキャバリアは長く王室の愛玩犬として愛されていました。

しかし18世紀に、ヨーロッパで空前の短頭腫ブームが到来しました。
そこでパグのような吻の短い犬種がかけ合わされ、今よりずっと鼻ぺちゃだったようです。
(この犬種も、現在『キング・チャールズ・スパニエル』として現役です。)

鼻ぺちゃキャバリアも愛されましたが、その鼻の短さからくるいびきや呼吸器系の病気、それ故の短命さから、『以前のキャバリアを復活させよう!』という動きが出てきました。
(人間はほんと勝手ですね 笑)

そこで復活し、安定化したのが現在のキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルというわけですね。

キャバリアは一度キャラクターを変え、さらに先祖返りしたちょっと特殊な経歴を持った犬種なのです。


簡単に犬種の特徴を変えたり戻したりできる英国王室すごいな…


 性格や特徴は? 

キャバリアの性格は、一言でいうと『最高』です。

前回のラブの時もそうだったので、
『あれ、この人犬の性格に甘いんだけなんじゃ…』
って思われそうですが、いえ決してそういうわけではありません。(ちょっとそう)

私が犬好きなのを抜きにしても、キャバリアの性格はいいです。
とにかく人懐っこく、病院でも私たちに尻尾…というかお尻ごと振りながら駆け寄ってくれる子が多いこと多いこと。

いつも楽しそうで、小型犬に多い神経質な面が見られることはほとんどありません。
かといってラブやビーグルのようにチャカチャカし過ぎることもあまりなく、比較的落ち着きもあるようです。(もちろん子犬の時のしつけが重要ですが…)

また、私たちが助けられるのはその 食欲 です。
キャバリアはラブやビーグルに並ぶ、食いしん坊犬種のひとつ。とにかくよく食べます
病気になった時、回復のカギになるのが『食欲の有無』です。
同じ病気になったとしても、やはり食欲があるかどうかで回復のスピードは全く異なります。

だいたいのキャバリアの飼い主さんは
『最近ちょっと調子悪くて…あ、でも食欲はあります
と言ってくれるので、いつも安心します


 飼いやすさは? 

まず性格サイズの面を考えると、飼いやすさで右に出る犬種はいないのではないでしょうか。

性格は誰にでも明るく人懐っこく、小さなお子様のいる家庭でも安心。
また、成犬での体重5~8kgと小さすぎない小型犬なので、日本の狭いマンションでも問題なく暮らせるでしょう。

飾り毛は柔らかく部分的にカールしているので耳や尻尾はブラッシングが必要ですが、それ以外の部位は伸び続けることはないので、カットは必須ではありません。


キャバリアは私が獣医師として働き始めてからより大好きになった犬種のひとつです。

ただ、どんな優秀な人でも欠点があるように、キャバリアにも弱点があります。
それは次の項で説明しましょう…

 多い病気… 

キャバリアの弱点。それは 心臓 です。
ダックスのヘルニアと同じように、キャバリアにつきものなのが僧帽弁閉鎖不全症(MR)という心臓の病気です。

僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の左心房・左心室の間にある(僧帽弁)の病気です。
本来心臓の拍動と共にぴたっと開いたり閉じたりするはずの弁が何らかの原因で閉まりが悪くなってしまい(閉鎖不全)、血液の循環に異常をきたしてしまいます。

小型犬のうっ血性心不全の原因の95%はこの病気であると報告されています。

もともと小型犬で多く、加齢とともに発生率は高くなる傾向にありますが、キャバリアはさらにそこに遺伝的な素因が大きく関与し、なんと1歳の時点で33%がこの病気を持っていると報告されています。
4歳では60%にも及ぶことから、圧倒的にキャバリアではこの病気が多いということが分かります。


MRの他には、脊髄空洞症も注意したい病気のひとつです。
これも遺伝疾患ですが、キャバリアは犬種の特徴上、頭蓋骨が脳の大きさに対して小さいことから、脳脊髄液の排出が阻害されてしまいやすいことが原因にあります。
実際キャバリアの90%で、大なり小なりの異常を持つとされています。


さて、ここまで読むと
『え…怖い病気ばっかりでキャバリアなんて飼いたくない!』
と思われるかもしれません。

でもちょっと誤解なんです
確かにこの2つの病気は怖いものですが、必ずしも発症するとは限りません。


まず、僧帽弁閉鎖不全症はグレード分類がなされますが、実際に症状が発症するのは病気が進行してから。場合によってはグレード2からほとんど進行せず、という子もいます。

症状としては、大きくなった心臓で気管が圧迫されて咳が出たり、元気が無くなったりなどが見られますが、キャバリアは犬種として心臓病に慣れているのか(?)心臓の状態に対して症状の出方が穏やかなように感じます。
(これはあくまで私の主観です)

また、脊髄空洞症については、発症する方が稀です。
症状は発作などの神経症状ですが、発症するとすれば若齢から見られることが多いようです。



ただ、発症は少ないといえども、注意が必要な病気であることに変わりはありません。
特に僧帽弁閉鎖不全症については、状態によっては早めに投薬が必要になることもあるので、定期的な検診は必要でしょう。



ただ、これらを踏まえてもキャバリアは素晴らしい犬種だと私は思います。


…だって可愛いんだもん