こんばんは!
本日やっとしっかりした掃除機を買いました。
いままでクイックルワイパーでごまかしていたのでめっちゃ快適です…


さて、本日は犬猫たちにとっても多い 子宮蓄膿症 についてです。

 子宮蓄膿症って? 
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子宮蓄膿症はその名の通り 
子宮に膿が貯まる病気
です。
この病気は私たちにとってとっても馴染み深く、そして怖い病気のひとつです。
6歳以上の未避妊の女の子で、最後の発情から2か月前後という時期に発症しやすく
赤ちゃんを産んだことがない、もしくは長くお産を休んでいる子で起こるとされています。


 症状と診断 
子宮蓄膿症の症状は様々です。

・元気、食欲がない
・嘔吐
・下痢
・多飲多尿(たくさん水を飲んでオシッコをする)
・おなかが張る
・陰部からアズキ色の液が出ている
・体が熱い、もしくは冷たい


などなど…あまり特徴的でないものが多いですね。
症状によっては気付かれず、病院に来たときにはとっても酷い状態ということもあります。

症状のひとつにある『アズキ色の膿』が出ている場合であれば、異常に気付かれることが多いですが、
全部の子で膿が出るとは限りません。
これが困ってしまう事のひとつです。

子宮蓄膿症には閉鎖型開放型があります。
膿が陰部から出てくるのは、子宮口が開いている『開放型』
子宮口が大きく開いていればいるほど、陰部からたくさんの膿が出ます。ただ、見た目は派手ですが、こちらの場合はそこまで重篤な症状を示しません。

ですが子宮口がぴったり閉じている『閉鎖型』はどうでしょうか?
こちらは体の外に膿が出せないので子宮の中にどんどん貯まってしまいます。
大型犬では子宮に3ℓもの膿が貯まってしまっていた子もいます。 おそろしや…

また、こちらは膿が長く体内に留まるぶん、症状も重症化しやすく危険です。
膿が出ないので発見が遅れるのも厄介なポイントですね


さっきから重症化重症化って言ってますけど、実際どんなことが問題になるのでしょうか?
子宮蓄膿症は早くに発見されて治療できればほぼ確実に完治できる病気です。
ただその反面、発見が遅れたり、治療をせずに放っておけばほぼ確実に死に至る病気でもあります。


その命を落とす原因となるのが 敗血症 ですね。
敗血症は、そのまんまですが体が細菌に負けた状態のことです。(血液中への単純な細菌の侵入は菌血症と言って区別します)

普段生き物は自分の免疫で細菌と戦っていますが、体力の低下やホルモンバランスのせいで細菌が免疫に勝利してしまうと…どんどんどんどん体内で細菌が増殖します。
大人しくしていればいいものを…細菌は増殖に伴って毒素を産生し、ショック状態(エンドトキシンショック)を起こしてしまったり、DIC(播種性血管内凝固)を起こして最終的に多臓器不全を引き起こします。
こうなったらもう最悪。治療へ反応する確率はガクッと落ちてしまうのです。


敗血症はどんな感染症でも起こりうるものですが、とりわけこの子宮蓄膿症は起こすリスクが高いとされます。
下の原因の項で書いてますが、ただでさえ感染しやすい状態の身体で起こっている病気ですからね…
進行もとても早いです


また、この病気に関しては、膿を溜めた子宮が破裂する というゾッとすることも起こりかねません。
その場合はお腹の中に細菌をまき散らしてしまいますから、大至急開腹と洗浄が必要になります。
ただ、この状態にまでなってしまうと…正直助からないことが多いです。


ではではこんな恐ろしい子宮蓄膿症、診断はどうするでしょうか?
小動物、特に犬の子宮蓄膿症はとても多いです。
上に挙げたどれかの症状&まだ避妊手術をしていない女の子
とあれば、私たちはまずこの病気を疑って検査をします。

というのもこの病気、比較的簡単に除外ができるからです。
この時にとっても活躍してくれるのが エコー(超音波)
明らかなものであれば基本的にエコー検査で診断が可能なんです。

怪しげな症状を示す女の子が来たら、私たちはまずエコーを当てて確認をしています。
もしも子宮蓄膿症と診断されれば、それに加えて血液検査を行って重症度の判定を行い、大急ぎで治療を始める、といった流れです。(急にバタバタします…)


 原因 
直接的な原因は子宮に細菌が侵入して繁殖することです。
ですが、通常の子宮内は清潔で、多少の細菌が入ったくらいでは負けません。
(膀胱と同じですね)

しかし、そこで影響してくるのがホルモンバランスです。
犬の発情後2カ月という時期は、女の子ホルモンの影響で感染を起こしやすい状態にあります。
子宮蓄膿症で悪さをしているのはほとんどが大腸菌ですから、この時期に陰部から細菌が侵入することでこの病気が発生してしまうんですね…


ちなみに別の動物の例を挙げると、牛ではほとんど発症しません。
牛でお産を経験しないことの方が珍しいから当たり前かもしれませんが、発症しても軽症で済むことがほとんどのようです。


同じ病気でも、動物の種類によって全然違ってくるので面白いですね
罹った動物からしたらたまったもんじゃないですが…




次回、治療・予防に続きます!