こんばんは!
私は午前中、今年の仕事初めをしてきました。
お正月の間は獣医は1人、看護師は2人で診察します。
やはり年末年始にかけて体調を崩すコが多いですね…

さて、今日はブログのタイトルにもなっている私の愛猫『ブリ太郎』との馴れ初めの話。

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2017年4月のある朝、病院の裏口前に小さな段ボール箱が置かれているのを発見しました。

『げっ!!!!!』


動物病院あるあるかもしれませんが、スタッフが通る玄関前に段ボールとなれば嫌な予感しかしません。
(にゃーにゃーーにゃーーにゃー)
ほらもう開ける前から中身分かります。

パカッ

ぶり1

あんれまーーーちっちゃな6つ子だこと!
まだ目も開いていないし、だいたい生まれて数日といったところでしょうか。

これは体をキレイにして箱を移し替えた後の写真なのですが、保護当時は箱もボロボロで湯たんぽも入っていませんでした。(リボンはどの子か見分けるために付けてます)

入っていたのはえらくタバコ臭いタオル一枚だけ。
これはひどい……

さらに驚きなのは、捨てられた時間。
うちの病院はこんな時のために玄関に防犯カメラを設置しています。
私たちも何もしないわけにはいかないので、空き時間にみんなで確認することに

どれどれ……お、映ってる映ってる!

動画には、箱を抱えて歩いてくるおばさんが一人。さぞ周りを警戒して焦って置いていくものかと思っていましたが

すたすたすた…どすん。すたすたすた……

特にキョロキョロしたりためらったりする様子もなく、真っ直ぐ玄関前に段ボールを置いて振り返ることもなく去っていきました。
時間は午前3時

4月とはいえ、まだ夜は冷え込む時期。
特にその日はいつにもまして寒い朝でした。そんな日に生まれて間もない子猫を置いていくなんて…

きっとその人にとっては動物病院の前に子猫を置いていくことなど普通の行為なのでしょう。
罪悪感など微塵も感じていないような様子でした。

子猫にとって、大敵なのは低体温・低血糖です。
特に生まれたばかりの子猫では、この二つは直接死につながります。

捨てられたのは午前3時、私たちが来るのは8時ですから、少なくとも5時間は何も口にしていないことになります。そしてそんな寒空の下。
よく生きていてくれました…
動物たちの生命力には日々驚かされます。

さて、そんな非常識な人間に対して怒り心頭な私たちですが、そう文句ばかり言っている暇はありません。
突然6頭もの乳飲み子が増えたのですから

手のひらサイズの子猫の世話はとても大変です。
この時期の子猫では、授乳は2~3時間ごと、同時に排尿・排便も私たちが助けてあげないといけません。体温も下がらないように湯たんぽもこまめに交換して…
基本的に人の赤ちゃんと同じです。それが6頭、離乳するまで毎日ですから、気が遠くなりますね。

子猫の育て方については、詳しくはむーちょさんの『てのひら子猫の育て方』をご覧ください。
私が見た中では最も詳しく、分かりやすく書かれています

昼間は私たちも普段の診察がありますから、合間合間ににミルクをあげて、夜は交代で自宅へ連れて帰り…
2か月を過ぎて離乳してきた頃から、6つ子たちは徐々に貰い手がついてきました。
ぶり2
目も開いたしごはんも自分で食べられるよ


そんな中、なかなか貰い手がつかない1匹がいました。
それが今私の後ろでソファを陣取っている『ぶり太郎』です。

うちの家族になるまでもうひともんちゃくありましたが、それは割愛。
こうしてぶりは無事うちの猫となったのでした…

ぶり4

こんなにおっきくなっちゃって 笑

そして今では…
ぶり5
このふてぶてしさ 笑
なんだよその目は。わかったよさっさと遊ぶよ。


ぶりが家族になって毎日楽しいですし、充実しています。
でもそれは結果論。
読んで分かった通り、ぶりは元々『捨て猫』だったんですね。

捨てた方にも事情があったのかもしれません。そりゃ6頭も子猫が増えたら生活は変わりますからね。
でも私たちにとっては
『そんなこと知ったことか!』
というかんじです。

実際『猫が増えて飼えない…』というお悩みを抱える飼い主さんも来られます。
やむを得ない事情もありますし、増やしてしまった飼い主さんを責めてもしょうがないですから、私たちも里親探しなどできる限り協力します。
でもね、そうなる前にもう一つできることがありますよね。
そう、『避妊・去勢手術』です。
避妊手術の意義や必要性については後日まとめますが、私は避妊去勢手術は
人間が飼うなら最低限必要なこと
だと思います。(繁殖する場合を除いて)

ただ生まれてしまったのならそれは仕方ありません。
でもそれなら 捨てないで 責任もって育てて ほしいのです。
動物たちを捨てることは立派な犯罪です。そしてその前に命を捨てる行為なのです。
43000頭1年間で殺処分される犬猫の数、うち半数は幼犬・幼猫です。
これが何を意味するか分かりますよね…

幸いぶりやぶりの兄弟は元気に過ごしています。
でも捨てられた子たちが運よく保護されて育てられるのはほんのひと握りです。

『うちではもう飼えないよ…』
それなら私たちに一言相談して下さい。
できることは少ないですが、協力しますので!



ではでは、明日から通常業務の方も多いでしょうか?
がんばりましょ~